07 Sep 2026
EN 13203-1更新:給湯器の性能をどう見る?
2026年7月23日、欧州連合官報(Official Journal of the European Union)に「Commission Implementing Decision (EU) 2026/1717」が掲載され、改訂版「EN 13203-1:2025」 注1 が、ガス給湯器に関連する整合規格 注2 として引用されました。この規格は主に、家庭用ガス給湯機器の「給湯性能の評価」を対象とし、EUにおける給湯器のエコデザインおよびエネルギーラベリングに関する法規制を支援するものです。機器メーカーにとって注目すべき点は、単に新しい規格が追加されたことだけではありません。ガス供給、温度制御、点火などの各機能が連携し、どのように測定可能かつ検証可能な機器全体の性能を形成するかという点も重要になります。


新しい規格は何に注目しているのか?

EN 13203-1:2025のポイントは、簡単に言えば次のように理解できます。

ガス給湯器は、実際にお湯を供給するときにどのような性能を発揮するのか?

今回のEU決定は、「Regulation (EU) No 814/2013」および「Delegated Regulation (EU) No 812/2013」を支援するものです。前者は給湯器および貯湯タンクのエコデザイン要件、後者はエネルギーラベリングおよび製品情報に関する要件を定めています。

したがって、評価の焦点は個々のガスバルブやコントローラーを単独で確認することではなく、完成した機器が実際に運転された際に示す性能にあります。

ここから、給湯機器についてもう一つ考えてみたい点があります。
一台の給湯機器の性能は、実際には多くの制御部品が連携して働くことで成り立っています。


お湯を出してから、安定した給湯まで

利用者がお湯の蛇口を開く動作は一見シンプルですが、機器内部ではすでに一連の制御プロセスが始まっています。

システムが給湯要求を検知すると、点火を開始し、ガスを供給して火炎を確立し、その後、水量や温度に応じて熱入力を調整する必要があります。

ここで、Alpha Brass Controls(達理精控)が取り扱う各種制御部品が、それぞれ異なる役割を担います。

ガスバルブ はガス供給の開閉および制御を担います。また、機器が負荷に応じて燃焼出力を調整する必要がある場合には、 比例ガスバルブ がガス流量の調整をサポートします。

一方、 サーモスタット 温度制御部品 は温度変化を把握し、制御する役割を担います。給水温度、流量、あるいは使用条件が変化した場合、システムは熱入力を適切に調整し、給湯温度を設定された範囲内に維持する必要があります。

そして実際に加熱が始まる前には、もう一つ重要な工程があります。それが 点火制御 です。点火シーケンス、ガス供給、火炎確認に至るまで、各工程は機器に設定された制御ロジックに従って実行される必要があります。

そのため、給湯性能は単に「バーナーの火力が十分かどうか」だけで決まるものではありません。ガス制御、温度制御、点火、そしてシステム全体の制御が連携した結果として表れるものです。



部品性能が良くても、機器全体の適合を意味するわけではない

これは、新しい規格について理解する際に生じやすい誤解の一つです。

たとえば、給湯器に安定した性能を持つガスバルブ、比例ガスバルブ、点火モジュールが採用されている場合、これらの部品は安定した制御システムの構築に確かに役立ちます。

しかし、特定の仕様に適合した部品を使用しているからといって、それだけで給湯器全体がEN 13203-1:2025に適合していることを意味するわけではありません。

整合規格による「適合性の推定」 注3 は、あくまで当該規格が対象とする法的要求事項および適合性評価の範囲に適用されるものです。

機器全体の最終的な性能には、バーナー、熱交換器、水回路、センサー、制御プログラム、さらにはシステム全体の設計も影響します。


部品選定から、さらにシステム性能へ

メーカーにとって、今回の規格更新は実務的な視点から一つの重要なポイントを示しています。

制御部品を選定する際には、「取り付け可能なサイズか」「必要な流量を確保できるか」だけでなく、次のような点も確認してみる価値があります。
ガス出力は安定しているか?
温度変化に対して適切に応答できるか?
異なる運転負荷でも一貫した制御を維持できるか?
部品をシステム全体へスムーズに統合できるか?

法規制や市場が、測定可能で再現性のある機器性能をますます重視するようになる中、個々の部品はあくまで出発点です。本当に重要なのは、それらの部品が組み合わされたときに、機器全体を安定して動作させられるかどうかです。

これもまた、EN 13203-1:2025からさらに一歩踏み込んで考えてみたいポイントの一つです。



専門用語注釈
1. EN 13203-1:2025
欧州規格で、正式名称は「Gas fired domestic appliances producing hot water – Part 1: Assessment of performance of hot water deliveries」です。主に家庭用ガス給湯機器の給湯性能を評価するために使用されます。
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2. 整合規格(Harmonised Standard)
欧州標準化機関によって策定され、欧州連合官報に引用された規格です。メーカーが関連する整合規格に基づいて適合性評価を行った場合、その規格が対象とする法的要求事項の範囲内で「適合性の推定」を受けることができます。
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3. 適合性の推定(Presumption of Conformity)
簡単に言えば、EUによって引用された整合規格を適用することで、特定の法的要求事項への適合を証明するための重要な根拠とすることができます。ただし、製品が適用対象となるすべてのEU法規制に自動的に適合することを意味するものではありません。
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参考資料
1. European Commission — Commission Implementing Decision (EU) 2026/1717 of 20 July 2026
Harmonised standards for gas water heaters

2. Commission Regulation (EU) No 814/2013
Ecodesign requirements for water heaters and hot water storage tanks

3. Commission Delegated Regulation (EU) No 812/2013
Energy labelling of water heaters, hot water storage tanks and packages of water heater and solar device


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